私のフェアリーテイル

小さい頃、寝る前に祖母が子守唄がわりに語ってくれたお伽話を思い出すことがあります。その当時、私は「赤ずきんちゃん」が大好きで、眠りの世界へ誘われるどころか楽しくて祖母に「もう一回!」とせがんでいました。何度聞いてもその物語はワクワクと心躍るものだったのです。祖母が寝落ちしてようやく、しかたなく寝る。今でもおばあちゃんの語りや歌が耳に残っています。

アンデルセンやグリム童話、聖書などのお話を身近に感じながら私は少女時代を過ごしました。「O Tesouro de contos de Hans Christian Andersen」というアンデルセン童話のコレクショを大事にしていました。曲の鳴る箱の中に、ハードカバーの美しい装丁の「みにくいあひるの子」「人魚姫」「裸の王様」「しっかり者のスズの兵隊」「野の白鳥」の5つのお話が入っていました。

家族の買い物について行くときには、買い物が終わるまで本屋さんの童話コーナーで絵本を読んで待っていたりしました。「赤い靴」「親指姫」「雪の女王」「マッチ売りの少女」「ヘンゼルとグレーテル」「幸福な王子」「金のガチョウ」「青い鳥」「かえるの王様」などなど…魔法に溢れた素敵な世界は小さな子供にはとても魅力的だったのです。

また、ディズニー作品も子供の頃に繰り返し見るほどに身近で、特に「リトル・マーメイド」のアリエル、「美女と野獣」のベル、「ポカホンタス」のポカホンタス、「ビアンカの大冒険」のミス・ビアンカは今でも私のお気に入りの勇敢で美しいヒロインたちです。
「眠れる森の美女」のラストでふたりの妖精がドレスの色をぽんぽん変えるシーンも大好きだったりします。「ライオンキング」は今でも空で歌えるくらいにはビデオテープを流していました。「オリバー」「おしゃれキャット」「不思議の国のアリス」…本をたくさん読むような子供ではなかったわりには、アニメでたくさんの物語に触れてきたような気がします。ディズニーではないのですが「サンベリーナ」や「アナスタシア」も私の物語を作るベースになった映画作品です。



私は、自分の作品はエブリディ・マジックに分類されるのかなと個人的に思っていて、さらにそうであるように目指しています。美しく余韻の残るような幻想譚。そんな作品に心から憧れます。私にとって童話は小さい頃から親しみ、今も作品作りの大事な土台となっています。不思議なことは当たり前に起こるものだし、主人公たちはそれに戸惑いはすれど、受け入れます。祝福も呪いも。

幻想譚を書くので、作中には妖精も精霊も幽霊も登場します。ここは書き手によって色々な解釈があって、作品を読むにあたってもとても楽しいところなのですが、私自身も本や資料で読んだ知識にいろいろと脚色を加えています。
幻想的な「彼ら」の姿は、作中にどのように登場するかで変わったりします。和風幻想のときには、様々に変化させています。例えば、私は花や樹木の精霊を登場させることが好きなのですが、彼女たちは人間のように振る舞うことができます。神様になるとそれはもっと淡く、言葉を交わすことができない神聖な存在になっています。

 同じ設定にしたりすることもあったりします。それが西洋風の幻想譚です。精霊や妖精や魔女…「Dear Ghost」「夜の国の物語」では妖精の国やオリジナルの夜の国が出てきます。物語同士が繋がっていることもあって、妖精の女王や妖精や精霊たちに共通していることがあります。それが「善悪の認識」です。彼らには善悪はありません。気に入れば祝福を与えるし、気に入らなければ呪いもする。与えられた人間にしてみればたまったものではないでしょう。でも、それが彼らなのです。

王や女王クラスの妖精や精霊は、統べる上での人間らしい感情を持っていたりしますが、それらの多くは「慈悲」と「残酷」の両極端なものであったりします。ちなみに私の作品の中で一番慈悲深いのは雪の女王です。夜の国の王はもともと人間なので、一公平な存在です。
彼らの間には細かなルールが存在しています。「Dear Ghost」では彼らは主人公の名前を奪っています。けれど、ぞれを取り戻し元の世界に帰りたいと願えば「引き止め」てはなりません。一度交わされた約束を破ることなど許されないし、だから彼は破ることはありません。それは人間にも求められるので、人間がもし約束を破ったならそれ相応の報復が待っています。彼らのロジックは絶対なのです。



最後に、気になった方にはぜひ「アナスタシア」を見ていただきたいです!
子供ももちろん楽しめる作品ですが、大人でも素敵だなと思えるような美しい映像とストーリーです。何よりロマノフ王朝のアナスタシア伝説を元にしているのが最高に良いです。コロナ渦のせいで楽しみで、楽しみで、楽しみにして待っていたミュージカル「アナスタシア」が見れなかったことが悔やまれるばかりです…私の心の喪失は今まだ癒えず…ぜひ、再公演があることを心から、心から!お待ちしています……。

ブロードウェイミュージカルの歌曲アルバムはどの歌も素敵でずっと聴いています。舞台オジナルの曲もどれも素敵で、愛を感じます。役者さんの歌唱力もすごい。泣いちゃう。ファンタジー色の強いアニメ版を大人向けの冒険ロマンスに変えています。新しい敵役のグレブはいろいろと闇を抱えてそうなのにわりとちょっと冗談を言ったりするのが面白いので本当に、生で見たかった…彼の歌はなんだか切ない。葛藤を抱えてそうで、好き。

アニメ版の「Once Upon a December」のシーンは鳥肌ものの美しさなので、曲のリンクを貼っておきます。少しでもアナスタシアが好きな方が増えますように!